It's Only チラシの裏 ~but I like it

つれづれなるままに書いてます。一番読まれないタイプのブログです。

Can't you see this old boy has been lonely

嬉しくもあり悔しくもあり:『1分間勉強法』

しばらくの間、『毎日30分を続けなさい』という本が売れまくりました。これはたぶん、漢字学者の故・白川静先生が実践されていたのと似た内容だろうと勝手に推測し(爆)買わずにおりました。(注:白川先生は、少量でも毎日、原稿を必ず書くという習慣を実践されていらっしゃいました。)


そんな折、今度はついに、『1分間勉強法』なる本が出版されました。
「30分」の次は一気に「1分」か!?と、たまげ、私は早速、書店で立ち読みを敢行しました。
そしたらです!


なんと冒頭で勧められる勉強法は、私が予備校で教えて来た、まさにその方法でした。
というか、
この方法はあまりにも生徒らから好評のため、私が5〜6年ほど前、原稿にまとめ、出版社各社に売り込んで回ったものです。


編集者さま各位の反応はすこぶる良く、文章と内容とは絶賛していただけたのですが、私に「箔がない」の一点で全て不採用とされてしまいました。有力なコネも用い、様々な方々にお骨折りいただいたのに全滅……。結局3年ほど頑張って、原稿データを削除しました。
その内容が、なんと書店に平積みとなり、立ち読みするそばからバンバン売れて行っていたのです!


これは、ある意味、感激でした。
というのは、私は編集者さま各位の絶賛は体(てい)の良い「ボツだよ」のメッセージと思っていたからです。
私が書いた、あのまんまの内容が、目の前でバンバン売れて行く。
あの編集者さまたちの絶賛は、あながちお世辞の類ではなかったのか?と思われ、嬉しさがこみ上げました。


しかし同時に、
私に箔さえあれば、あの死んで行った拙稿が、こうして人さまから買っていただけたのかと思うと、悔しさもまた、こみ上げるのでありました。


本によると、この勉強法は、著者が予備校生時代、ある講師から教えられた勉強法とのこと。


「おいおい!それってまさか俺のことかいな!?」


と焦り、すかさず著者略歴を見たのですが、お名前は「石井貴士」。記憶になし。
「1973年生まれ」。ありゃりゃ、これじゃあ私がこの人の先生だったはずはないよ。(^^;
てーことで、
どうやら私が生徒らから喜んでいただけ、また編集者さま各位にも絶賛していただけた勉強法は、実はとうの昔に他の先生が、そっくりそのままお教えになってた、って衝撃の事実が発覚してしまいました。(爆)
#本、出なくて良かったよ。(^^;;


しかしこの本、今や大学受験生の間でみるみる読者(信者?)を増やしており、電車の中などでも私の方法で勉強している高校生らをよく目にするようになっています。なんだか妙な気分です。
来年からは今まで通りに教えると、
「あいつのは『1分間勉強法』のパクリだぜ?」
とか言われるんかなぁ……?
こりゃ、やりにくくなりそうだ。(^^;


そいでも、やっぱし、
自分が出版社で絶賛していただいた内容は、どうやら本当に売り物となる価値を有してたんだ、という自信は付きました。
あとは「箔」ですねー……。


『1分間勉強法』の著者、石井氏は、テレビのアナウンサーとして採用されたにも関わらず
「無職からスタートして億万長者になったら多くの人を勇気付けられるはず!」
と思いたち、わざわざほんとに無職となって、今ではココロ・シンデレラという自分の会社(というか社員は自分だけらしいですけれども(^^;)で年商1億円を超す勝ち組となっている上さらに、累計16冊、15万部を突破するベストセラー作家でもあるっていうんですから、
こうでなくっちゃ本は出せないってことですかねー?
はぁ……。。。(感嘆)


特に「多くの人を勇気付けられるはず!」って発想からアナウンサー職をなげうち、本当に無職になっちゃうところが並大抵じゃないですよね。
しかもそっから勝ち組実業家&ベストセラー作家になっちゃうってんですから……。


ちょっと、真似できないなぁ……。



石井 貴士『本当に頭がよくなる1分間勉強法』(中経出版、2008年)