社会保障関連「改革」の裏にいるもの
街や電車の中などで、「政治とか、新聞読んでも意味わかんねーし」などと言う若者たちを見るにつけ、情けない……と思って来た私だが、今回の年金保険料税方式に関する議論は、こりゃあ難解でした。
反対する読売・朝日連合に立ち向かい、税方式を提唱して来た『日本経済新聞』は、20日付朝刊に詳細な記事を載せてくれましたが、何度読み返しても、よく理解できませんでした。初めは電車内の女子高生らがうるさいからだ!と思ってたのですが、帰宅して朗読(笑)してみてもなお、よく分かりません。
自分の馬鹿さに呆れる限りです。
しかし、これだけは分かった、ということがあります。それは、
下のグラフをご覧ください:
(前出『日本経済新聞』)
税方式にした際のメリットとは何か?
それはすなわち、企業負担の大幅減少なのです!
日経にはこうあります:
「余裕ができた企業が賃上げや雇用増に動くなど経済全体への波及効果も考えられる。」
あのぅ……
日本の企業が、そんな動きをすると本気で思われますか?
Of course not!
それから、話は変わるようですが、今週号の『週刊朝日』。
「崩壊!ニッポンの医療」という特集で、気になるコメントに出会いました。
日本医師会前会長の植松治雄氏のコメントなのですが、こうです:
「特に医療費抑制を強硬に主張した経済財政諮問会議のメンバー(当時)には、トヨタ・奥田碩会長やウシオ電機の牛尾治朗会長など、経済界の重鎮が名を連ねていました。経済界は、健康保険組合の負担が増え、ひいては企業の負担が重くなることを警戒しました。」
このコメントを拝読し、私にはあるヒラメキがありました。
年金、医療の「改革」は、大企業の「おねだり」によって突き動かされているのです。
何度読んでも良く分からなかった年金財源の税方式化も、これでいくらか理解できました。
朝日だけが書いているならば、また保守系の「賢明な」方々から「偏向だ」「捏造だ」と笑われるだけですが、日経にも書かれているところが極めて重要です。
【注】本記事のコメント欄にて私が「そもそも経営陣以外は皆、非正規雇用にしてしまえと提言したのはトヨタの奥田氏」と書いておりますが、これは誤りで、正しくは永野日経連でした。お詫びして訂正いたします。