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つれづれなるままに書いてます。一番読まれないタイプのブログです。

Can't you see this old boy has been lonely

秋葉原事件  日本経団連は「新時代の『日本的経営』」を否定せよ

ご心配おかけしております。
皆さんコメントを控えてくださっているところに、いたわりを感じます。有難うございます。


さて、朝日新聞「声」ボツネタカテゴリーの第2弾を上げます。
先日の秋葉原殺傷事件を受けての投稿です。どうやら私は、また相手にされなかった模様ですので(笑)、ここにアップします。
「声」への投稿をお考えの皆さまは、こういう文章では採用されないのだな……という「お手本」としてご利用ください。(笑)


(拙稿こっから)
 秋葉原の事件は二重に悲しい事件である。
 被害者のことを考えれば当然悲しいが、容疑者の気持ちも痛いほど分かり悲しい。というのも、私は41年間フラれ続けで恋人ができない不安定労働者だからだ。
 不安定労働者でも、いわゆる「イケメン」ならば女性は寄って来る。そんな中、容疑者もまた悔し涙を流し屈折して行ったのではないか。
 また容疑者は派遣先で作業着を隠されたと主張しているが、これは非正社員を自主退職に追い込む際、企業が取る常套手段である。容疑者には「我慢が足りない」との批判もあるが、我慢などしていれば、やがて企業から自主退職を求める電話が来る。非正社員の毎日は、死刑執行に脅えつつ毎朝を迎える囚人のそれである。真面目な者ほど正気を保つのは容易ではない。
 私は東京大空襲のドラマなどを見る度、いつの世も一緒だと感じる。容赦なく人を焼き殺すB29の姿に冷血な企業が重なって見える。
 その冷血な企業群が生まれる発端となったのは日経連(当時)の「新時代の『日本的経営』」(95年)というのが定説だ。確かにこの提言を実行したことで我が国は戦後最長の大景気を達成した。だが今や、これを日本経団連が否定すべき時が来たのではないだろうか。
(拙稿ここまで)


なお、拙稿中で言及の日経連「新時代の『日本的経営』」とは、正式には「新時代の『日本的経営』−挑戦すべき方向とその具体策」というタイトルで、95年5月に発表された文書です。
この中では労働者を下記のような雇用形態に改めることが提言されています:


管理職・総合職・技能部門の基幹職=期間に定めのない雇用契約で昇給あり、退職金・年金はポイント制で付く


それ以外=有期雇用契約で昇給なし、退職金・年金もなし


これは素人の私が見ても、日本企業が飛躍するのが明らかな画期的提言であり、これを実行すれば我が国の景気は「いざなぎ」を越えるような大景気となる可能性がありました。だって、なにしろ人件費が格段に要らなくなる経営スタイルなんですから。これやれば絶対に儲かる。
しかし、これはあまりに過激な提言だったせいか、なかなか実現されませんでした。


ところが後に小泉純一郎氏が内閣総理大臣となり、慶應義塾大学教授の竹中平蔵氏による強力なサポートのもと、急速に日の目を見始めました。そしてさらに、これは国民の熱狂的支持も得ました。
そんな中、この改革に対して猛烈に反対し、かみついた経済学者もいて、名を植草一秀とおっしゃいましたが、ある日、品川駅にて手鏡を使ったところ、かねてよりマーク中だった警察官らに猥褻行為の現行犯逮捕をされてしまい、事実上失脚してしまいました。これも小泉改革を加速させるのには「好都合」な事件でした。


かくして、それまでは自由気ままに生きるライフスタイルという程度の意味合いだった「フリーター」((c)リクルート、でしたよね?)が街に溢れるようになり、やがてそれは「負け組」という別称(蔑称)を得て、世間からの批判と嘲笑とを浴びることとなりました。
その後は、事実上のホームレスが大量発生して「ネットカフェ難民」と呼ばれるようになり、やがて発狂する者も現れて秋葉原その他の類似事件が多発し始めた、というのが「←今ここ」であります。日経連の提言から実に10年以上の歳月が流れました。


しかしまだ、労働者の3分の1程度しか有期雇用契約になっていないわけで、日経連(当時)の理想社会は全く完成したわけではありません。「管理職・総合職・技能部門の基幹職」以外を全てフリーターにしなければ、「新時代の『日本的経営』」は実現しないのです。
現在の財界としては、まだまだ政府に頑張ってもらいたいところでしょう。
しかし、私はその財界に、今の野望を捨てるべき時ではないですか?と、上の投稿記事で呼びかけたわけです。
さらに、全国の不安定労働者同志に、何故我々は今のような地獄を見なければならなくなったのか、それを僭越ながら教えたいという意図もありました。


影響力絶大な朝日新聞の「声」から、その呼びかけができなかったのは誠に無念ですが、一人でも多くの皆さまが、この拙文を読んでくださることを切に願います。


【参考】日経連「新時代の『日本的経営』」について詳細:
http://www.h5.dion.ne.jp/~hpray/siryou/shakaikeizai/nikkeiren21.htm


【恥】今見たら、タイトルに「日経連は……」と書いてありましたが、日経連はもう存在しませんので、慌てて「日本経団連」に改めました。なんともお恥ずかしい間違い……。