It's Only チラシの裏 ~but I like it

つれづれなるままに書いてます。一番読まれないタイプのブログです。

Can't you see this old boy has been lonely

教員時代を思い出す事件

神奈川県立湘南高校の食堂で6月、カレーライスをテーブルにまき散らした上、片付けずに外に出ようとした男子生徒を注意した非常勤職員(当時)の男性(38)が生徒から起訴された事件がありました。
この件で12日の横浜地裁は、元非常勤職員に無罪の判決を出しました。


http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20081113-429100.html


カレーぶちまいた男子生徒を発見した際、元非常勤職員は「食器を片付けろ」と生徒の首をつかんで押し戻し、その際に1週間のけがを負わせた罪で、生徒から起訴されました。
男子生徒はこの事件の際、非常勤職員に対し、こう言い放ったそうです:


「ばかなやつだ。学校にいられなくしてやる」


「首だ」


腹立ちますよねー……。
でも、多くの学校では、こんな感じなんです。生徒は「お客さま」だから。それこそ生徒を叱るていうことは、トヨタの奥田氏を怒らせるのと同じこと。スポンサーに逃げられたら学校は終わりです。カネあっての学校なのですから。教育なんぞを優先する教職員は「本末転倒」と懲戒処分受けるのは必至です。「あんさん商売なめとんのか?」と。「おつむは一体、大丈夫なんか?」と。


私が教えていた私立中高では、毎朝毎朝、朝礼で、校長先生が同じことを耳タコ状態で叫んでました:


「顧客生徒様の後ろには、おカネを握った保護者様がいることを片時たりとも忘れないように!」


「全てはCS(顧客満足度)向上のために!  これだけ考えて働いてください!
「顧客生徒様のCSが来年の顧客生徒様を呼ぶ!
「部活指導だって、別に大会なんか何の意味もありゃしないんです!  ただ、それも、ね?  全部CS向上の一環として……」


「顧客生徒様あっての学校!  教師は従業員!  お客さまに逆らうのは従業員の態度としてあってはならぬ基本です!いいですね!」


てな塩梅で……。


これじゃあ「顧客生徒様」たちは、どんどん付け上がって行くんですよ。
神奈川のカレー事件も、こんな空気の中で起きたんじゃないかなぁ?と推察されます。そしてまた、「ばかなやつだ」「首だ」などという生徒の言葉も、この空気を読み切ったゆえのものだった気がします。
実際、非常勤職員氏は訴えられちゃったわけですし。


上で言及の私が勤務した学校でも、生徒を注意してしまった熱い先生が懲戒で即日、担任降ろされたりしてました。
そうなると生徒らが笑って写メ撮ったりする中を、降格処分受けた教師は「市中引き回しの刑」受けなきゃならんのでした。担任持たない下流教師が集められる部屋へとお引っ越しさせられるんです。
私は机を運ぶ役をしましたが、なんだか私まで涙が出て来ましたね。「顧客生徒様」たちは楽しそうでしたけども。(´・ω・`)


学校の「商売」って、「顧客生徒様」たちに楽しんでいただく「CSの向上」じゃないですよね?


今回の判決、無罪で本当に良かった。