It's Only チラシの裏 ~but I like it

つれづれなるままに書いてます。一番読まれないタイプのブログです。

Can't you see this old boy has been lonely

左と右のクエスチョン?(3):「右翼」って、何じゃろ?

「派遣切り」なる蛮行が我が国各社で行われ始め、連日メディアで報じられるようになりましたが、このメディアの動きに対し保守派の先生方が一斉に激しい不快感を表明中です。
今回は『SAPIO』(2月11・18合併号)に掲載された大前研一氏の主張を取り上げさせていただきますが、大見出しがこう:


「新聞、テレビの『年越し派遣村』報道が日本の雇用を危うくしている」


で、一番目の小見出しはこうです:


「実は日本は昔から終身雇用でも年功序列でもなかった」


これはずいぶんと独創性溢れる、耳慣れない御説です。


大前氏曰く、終身雇用は日本企業の強みなどとガイジンがおかしなことを言ったせいで伝説化しているが「実はそんなことをやっていた会社は日本にはない。」
終身雇用の如きものが見えていた理由は、「長きにわたって日本全体が経済成長していたから、正社員をクビにする必要がなかっただけ」であり、「歴史の偶然」だそうです。


で、「左と右」とに関わる問題はここからなんですが、大前氏曰く、我が国の雇用形態は元々今より柔軟性があって、戦後いつでも非正規労働者が存在した。そして「そのおかげで中国に対しても最後まで競争力を維持できたのである」とのこと。


これって、つまり、日本人の労働単価が安く抑えられて来たからこそ、シナに経済で負けずに来られた、ってことですよね?
逆に言えば、もし我が国が正社員による終身雇用などをやって労働者を手厚く保護していたとしたら、製品の品質ではシナに負けていた、ってことですよねぇ?(安くできたから、かろうじて勝てた、と。)


これはたまげました。
だって『SAPIO』って、小林よしのり先生が「天皇論」という皇室万歳マンガを執筆されていたり、この号ではトップ特集が「昭和天皇と私たち日本人の幸福な日々」ってんで、表紙には昭和天皇が柔和な笑みでお手をお振りあそばされているお写真が使われている、どう見ても「右翼」の雑誌ですよ?  その中に上の大前氏の論文は、どうにも私には違和感があります。完全に浮いている。


いや別に、浮いてる記事が載ってたって構いはしないのですが、しかし安価な非正規労働者なくしては我が国がシナに勝つことなど無理だったと、まるで品質ではシナに軍配がどうしても上がってしまうとでも言わんばかりの主張のどこが「右翼」なのか?
私にはどうしても理解できかねるのです。


大前氏の論文は、最後こう締めくくられています:


「このままでは日本企業は日本人を雇っていては競争に勝てなくなり、海外に出ていかざるをえなくなる。」


この脅しめいた論調は、後日ご紹介予定の各右翼雑誌でも偉い先生方がこぞって展開されています。というか、皆さんこれは耳慣れた主張ですよね?


しかしこの、「労働者の保護なんぞやったら、速攻、外国に出るぞ!?」という脅しは、はたして愛国者が口にする言葉なのでしょうか?
なんでこういう論調の方々が保守系=右翼に分類され、労働者の保護を訴える者は左翼(=非国民に近い)と呼ばれてしまうのでしょうか?
前から不思議に思って来ましたが、今回のこの「『「派遣切り」叩き』叩き」の猛攻勢を見て、いよいよ鮮明な疑問となりました。
なんか、我が国で「右翼」と呼ばれている人たちは、ただ自民党と財界とに逆らう人間を叩きたい人たちなんではないのか?と。


次回に続きます。