「失われた15年」は失われていない
上の記事でご紹介した論文において長谷川慶太郎氏は、こうもおっしゃっています:
「どの国も、どの業種でも、『不況』が到来すれば、直ちに手持ち在庫を最低限まで抑える」
この中の「手持ち在庫」には、「ハケン」が含まれております。
ハケンに限らず従業員が「不良在庫」という見方は経営者・エコノミスト・経済紙の中にありまして、バブル崩壊後には「設備・負債・雇用」が「3つの過剰」と呼ばれ、解決が急がれました。
そんな中、日経連(当時)から当日記ではすっかりおなじみの「新時代の日本的経営」なる論文が発表され、簡単に言ってしまえば、経営陣等一部を除く従業員は全員、「昇給なし賞与なし退職金なし」の有期雇用契約社員としてしまえという大胆なる提言がなされました。
「不良在庫」である「雇用」をバサッ!と切っちまえ、という提言であります。
いくらなんでも、そこまでのことを実行した企業はなかったようですが、それでも非正規雇用への流れは大いに加速しました。また、これは意図したものか偶然かは分かりませんが、勤労意欲を失ったニートも出現し、増加し始めました。
これは「不良在庫」を処分したかった企業にとって夢のごとき追い風!
「天は我らを見捨てなかったか……!(涙……」て感じだったでしょう。
その流れに「小泉改革」が、一層激しく拍車をかけた格好です。
かくして「雇用の過剰」が解消され、我が国はこの世界不況の中にあっても、麻生総理もご指摘の通り、世界一キズの浅い国となれました。
財務大臣が外国の会合へ遊びに行って美酒に酔い、新橋のおっさんみたいになれるような(笑)、余裕の国が実現したのです!
だから私は、「失われた15年」というのは、全然、失われていないと思っています。「不良在庫」の処分に大成功を収めた。
そういう意味で、私は、政府紙幣を配るなら思いきった額で配るべきだと考えています。例えば年間、一人あたま500万円とか。
何故ならば政府紙幣には、国民の勤労意欲をそぐポテンシャルがあるからであります。