It's Only チラシの裏 ~but I like it

つれづれなるままに書いてます。一番読まれないタイプのブログです。

Can't you see this old boy has been lonely

「安倍元首相R33論」と自民惨敗のワケ

私は安倍晋三氏が小泉氏を継ぐ総理大臣となられた時、その政見を拝聴して日産スカイラインを思い浮かべました。


スカイラインと言えば元々プリンス自動車が作り売っていた我が国の誇る名車ですが(後に日産自動車が吸収)、その中でも爆発的ヒットとなったモデルが89年発売の「超感覚スカイライン」R32でした。



これはGTXとGTS type-Sの2台に私も乗りましたが、エクステリア、インテリア共にスポーツ色バリバリで、良く走るし、なにしろかっこ良かった。それで必然的に良く売れました。


ところがその人気が沸騰しているさなかに、何を思ったか日産自動車スカイラインをフルモデルチェンジし、R33を出します。



これはグランドツーリングカーに必要な、大人4人がゆったりとくつろげる居住性と、大柄な3ナンバーボディによる高級感などを打ち出したモデルでしたが、大変に不評でした。
どのくらい不評だったかと言えば、日産自動車のCFが入っている(ということは日産からカネが出ている)カーマニアビデオで、土屋圭一氏ほか多数のプロドライバーたちが散々にこきおろすというくらいの不評ぶりでした。他メーカーのスポーツ車と競うレースでは、クーペで出場のR33が4ドアのトヨタ・チェイサーにさえ負け、さながら「体育の苦手な男子生徒」といった風情で、ずっと遅れてゴールインという、なんともブザマな姿を晒しておりました。
土屋氏の、「もっと真面目にスカイライン作ってよー!日産さん!」という叫びが忘れられません。


このモデルにも私は2リッターモデルの40周年記念車に乗りましたが、確かにR32と同じ車種とは思えぬ変貌ぶりでした。
トルクもなく加速もにぶかったし、曲がるのが楽しいってこともない。
でも何気にスカイライン伝統の「水平ゼロ指針」最後のモデルだったり、ゆったり・まったりした乗り味も好きで、私は結構乗りました。
しかし買った時にはディーラーの皆さんが肩叩き合って狂喜乱舞し(笑)、わざわざ営業所長さんが「私が入れさせていただきました」と言って熱いコーヒーを出してくださったりしてましたから、さぞや売れなかったんでしょうねぇ……。


まぁ、R33が売れなかったのは当然で、あの頃「スカイライン党」の皆さんは、R32という革命的「異端児」に感動している真っ直中だったのです。スカイラインはもともと「羊の皮をかぶった狼」で、実は速いが見た目は単なるオヤジセダンというのが伝統でした。R33はその伝統を重んじて「本流回帰」をしたのだと思いますが、スカイライン党が求めていたのは、そんなものではなかったのです。皆、「異端児」R32に熱狂している最中だった。
かくしてスカイラインは、それから長い冬の時代へと突入しました。(Rシリーズはゴーンさんの登場と共に、次のR34で幕を閉じます。)


私にはこの顛末が、ちょうど小泉フィーバーに湧いていたさなかに登場した安倍さんの姿にかぶって見えるのです。
国民は皆、小泉氏の変人ぶり、リーダーシップ、そして(何だか良く分からないが)「郵政改革!」という言葉に感動し、酔っていたのでした。その熱狂がまだ全然さめやらぬ時に、安倍さんが何やら「美しい国、日本」とかいうスローガンで出て来た。
これは小泉路線と全然違う。
有権者は小泉さんの「改革」に期待して票を投じたはずなのに、その政権を継ぐ新総理が全然違ったカラーでもって登場して来た。
これに有権者はすっかり白けた格好でした。
そして自民党支持率は低下の一途となり、1年交替で首相が替わるという事態になりました。


どうでしょう?
なんかスカイラインの歴史と似たところ、ありませんか?


要するに日産も自民党も、国民が望んでいるものを全く無視したか、そもそも分かっていなかったのです。


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私は上の記事を、もうずいぶん以前から書きたいと思っていました。ですが、今になって書くことになり、結果的には良かったかな?と思います。
というのは、今回の自民党下野も、原因は全く「R33現象」だと思うからです。
それと引っくるめて書けて良かった。


なんか「民主党の実態」を暴くネガティブキャンペーン用の冊子が選挙期間中、話題となりましたが、あれって結局、自民党を熱く支持する若い勝手連の人たちが製作し配ったものらしいですね。中には未成年の少年たちも多かったと聞きます。
冊子の内容は、「民主党日教組ですよ!」とか、「民主党の支持母体は組合です!」などというものだったようですが、しかしこれって自民党の主張と完全に沿った内容ですよ。
投票日の新聞朝刊で自民党の広告見ましたが、全く勝手連の冊子とおんなじことが書かれてありました。
うちの近所には安倍さんが演説に見えて、私は偉そうに革張りの社長椅子に座りながら、涼しい自室にて、ふんぞり返って拝聴しましたが(笑)、安倍さんの演説内容も一緒でした。
すなわち、


民主党日教組ですよ!」
「組合に支持されている政党が与党となって、社会主義国との関係は大丈夫でしょうか?私は拉致被害者を日本に帰国させました!」


といった内容です。


なんか近所の人々は、いちいち、「そうだっ!」、「よしっ!」とか叫んでいましたが、私にはピンと来るものがありませんでした。


日教組は私も好きではないですよ。連合も、ちょっと前まではフリーター問題に関して「若者がちゃんと働く意欲を持つことが重要」などとピンボケなご発言を行い、「派遣切り」を受けてようやく、「非正規雇用の問題がこれほど深刻とは今まで気付かなかった」とか曰うという有りさまで、全然、共感とか何かは抱きません。
しかし、です。
私どもは今、そんなこたぁどうだっていいんですよ!


「精一杯働いても女性陣から小馬鹿にされるような給料しか稼げない」
「しかもその仕事が、いつなくなるかも分からない」


そんな状況下で、大半の有権者は死に苦しみの最中なのであります。
これは、「喰いものの恨み」です。
「喰いものの恨み」を抱く有権者らに向かって、日教組と言おうが連合と言おうが、そんなものは何ら恐るべき対象ではない。
私どもが怖いのは、一家もろとも心中か飢え死にする未来なのです。


(ああ、R33だったのは安倍さんだけじゃあなく、自民党全体がR33化してるのだな……。)


と私は思いました、今度の選挙で。





これは各種マスコミでも言われておりますが、今度の選挙で民主党に入れた有権者は大半、別段、民主党マニフェストに賛同したわけではないでしょう。
ただ、自民党ではもうムリだと判断したまでです。
#だから私は民主党はあんなにてんこ盛りなマニフェストを作らなくとも良かったんじゃあ?と思ったりもしています。あそこまでしなくても勝てたでしょう。


自民党には「異端児」に戻れと言いたいわけでもないですし、上記の通り私はR33スカイラインを嫌いなわけでもありませんが、しかし国民が求めているものを分からないでは、いくら声を枯らして「勝たせてください!票をください!助けてください!」と叫んだところで票は入りません。そのことを分からない限り、自民党復活は厳しいのではと思います。
また、民主党さんも同じく、どうか「R33化」しないで行っていただきたいと切望します。