It's Only チラシの裏 ~but I like it

つれづれなるままに書いてます。一番読まれないタイプのブログです。

Can't you see this old boy has been lonely

鳩山総理案「障害者」→「チャレンジド」について

鳩山由紀夫総理大臣が、「障害者という言葉よりも、チャレンジドの方が望ましい」とご指摘されたそうです。


http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009121100726


民主党は、人権派の方が大勢います関係で「障がい者」という表記を提唱していましたが、総理はさらに踏み込んでカタカナ化したのですね。("challenged"という呼称は米国には既にあります。)


これに対してネットの声は、私の見る限り否定的なものばかりです。
「『やってみた』って、何をだよ?w」
「別にやってみたから障害者になったわけじゃあるまい。鳩は何言ってんだ?」
「過去形なのが意味不明」
等々……。


これは、カタカナにしたまでは良かったのですが、過去分詞形なのがマズかったですね。「〜ジド」は、さすがに日本人には馴染まない。


あ、"challenged"は"challenge"の過去分詞形で、過去形ではありません。ましてや「やってみた」などという意味は毛頭ありません。
よく日本人は、「よし!いっちょチャレンジしてみる!」とか言うのですが、"challenge"は「人の能力などを試す」という意味で、「何かをやってみる」は"try"です。
GODIEGOゴダイゴ)のタケカワユキヒデ氏がソロで自主制作っぽく通販されたCDに某会社から依頼され作った曲が入っておりますが、その曲はどうも会社からの要望で、どうしても「チャレンジ」を"try"の意味で入れて欲しいと言われたらしく、英語に一家言あるタケカワ氏は仕方なく「チャレンジ」のところだけを、わざと発音悪く日本語風に歌っています。(笑)
「障害者」を表す"challenged"は、「神から魂の能力を試すべく特別な試練を与えられし者」というくらいの意味です。「与え『られ』」と受け身の意味を持たせるため過去分詞形になっています。


これはさすがに難しいですよねぇ……。
だいたい「ジド」って発音がしにくいし。


ただ、カタカナ化は良い案だと思うのです。「意味不明」との批判がありますが、まさにその「意味不明」なところが良いわけで。「障害者」だと障害を負っていることが丸分かりなのに対して意味がボカされる。「健常者かな?」とか思ってしまう。
そうすれば就職の際などにも、障害者ということがバレずに雇用してもらえるケースが増えて来ると思われます。


しかし、「ジド」は良くないですよねぇ……。


どうしても「障害者」の呼称が差別的なのならば、例えば……


「精神あるいは身体の一部もしくは多くの部位における軽度、中度、高度の症状が原因で、それがない者に比して一般的生活がより困難となっている者」


などは如何でしょう?


しかし、差別撤廃を目的として呼称を改めるのは、あまり効力を持たない、というか、効力が持続しないのですよね。
アメリカ合衆国での「黒人」に対する呼称が良い例です:


同国では黒人のことを"Negro"と呼んでいましたが、それは差別的だということで"colored"(色の付いた)に換えました。しかし、そうするとじきに"colored"が差別語として用いられるようになってしまい、70年代には"black"に換えました。しかしこれもまた差別語となってしまい、90年代に入って"Afro-American"さらには"African-American"と換えて現在に至っています。
まだこの先も色々換わるのでしょう。


とにかく、差別の対象となるものに付く名称は、何にしたところで、それが差別的響きを持ってしまうのが現実です。